“破戒”
--apostasy--





東より来たる使徒。



破戒卿ラカン。
彼を空想上の人物でしかないという者が多いのも事実である。
しかし、マトランたちの長、ツラガによって彼と彼にまつわる一連の説話は、
かつてジャパ・ヌイに起こった実際の出来事として脈々と語り継がれているのだ。
その為、多くの地方でその存在が信じられている。



一般的に黒衣の魔人として描写されることが多いラカンだが、
黒い体躯に銀の鎧という姿で描かれることも少なくない。
恐らく、この“銀の鎧”とはつまり、エヴァラ・マガイで作られた鎧のことを指すと思われる。



ラカンはもちろんのこと、ジャパ・ヌイに言い伝えられる神話の登場人物の多くは、霊験あらたかな力をもつ存在として描かれる。
だが周知の通り、現在ジャパ・ヌイに息づくトーアは一般にそういった類いの能力をもたない。
それらを併せて考えると、ラカンたちのその姿はむしろジャパ・ヌイ系のトーアというよりもマタ・ヌイ島のそれに近いといえる。
ジャパ・ヌイの神話大系に生きる古代トーアとマタ・ヌイ系オリジナルトーアの類似性。
神話学的にも、生物学的にも大変興味深い事柄である。






6つの大軍団を従える。
それは強力無比な群れであり、恐れを知らないという。






四足獣形態。


空想上の神々の多くがそうであるように、ラカンもまた多くの姿をもつ。
ある時は黒衣をまとった男の姿を、
ある時は恐ろしき獣の姿をしているといわれる。
また、黒味がかった天秤のような姿をしているとする文献もある。



ラカンが現出する時、全ての法は無に帰せし召す。








R A K A M
ラ カ ン

偉大なる御魂の加護により光り満ち満ちたる国に深淵の使徒来たる。
東の空は黒く染まり、西の空は青白く輝く。
また、同じように南の大地は怒り狂い、北には銀の刃降り注がん。

先ず先んじて一の使徒黒き衣を纏いて東より来たり、魂の祝福に仇成さん。
人大小を問わず秩序忘れ、朝起きたる時に目覚めず、
丘、平地問わず草木鬱葱と生い茂らん。
そして白きものは黒く、赤きものは青くなる。

東より来たる使徒、賛美されし世の絶対なる法、破戒せしめんとす。
(リュチュ・サン・クァ蔵 レト書 ダグァ写本 第72章 第1,2節)

・・・・・・・・・・

ジャパ・ヌイ島の神話大系にも、他の神話と同じように終末神話、
いわゆる“最終戦争”にまつわる説話が残っている。
それらを収録する書物は多数現存しており、サパル書、ラハラ写本、マダク書等が有名である。
中でも聖域の古代神殿“リュチュ・サン・クァ”で発見、所蔵されているレト書(ダグァ写本)はこの終末神話に詳しい。
レト書はマトランたちが『混沌』と呼ぶ時代に記されたらしいのだが、
原本は失われており、今はダグァ写本と呼ばれる写ししか現存しない。
72章2節に記された部分が本項で扱うラカンに関する記述と考えられており、
それによるとこの“破壊卿”ラカンは終焉の使徒の一人であるとされる。
レト書の解釈については神学者の間で今も議論が続いているため断言できないのだが、
ラカンは黒衣の魔人で、法と秩序を崩壊させる使徒であると理解されている。
しかし、このレト書写本は全体的に他の神話書物と異なった記述が多く、
また整合性、一貫性に欠ける箇所が幾つも散見するため信頼性に問題があるとする意見もある。
(そもそも、“神話”の世界の話であるから、信頼性を云々するのもおかしなことではある)
別の書物によると、東方の国を治め、
ボロック(実際には“ボロカ”と記されている。これがボロックを指すのかどうか判然としない)一千体で構成される、
6つの軍団を仕えるといわれている。





言い訳。

どーですか皆さんッ!って感じの気負いで作ったトーアであります。
2004/7/15現在の最新作ですますよ!
…まァ、例によって完成は2003/10/1らしいです。酷いですね。半年以上前じゃないですか。
もっと創作スピード及びHP更新頻度をアップするように言っておきますね(←他人事ですか)。

これ、以前から温めていたネタを投入してみてるですよ。
ひとつは『折角だからボロック&ヌーバ&ラクシのパーツを使ってみよう』というもの。
こいつの製作を始めるちょっと前くらいに、ようやっとボロックとヌーバ、ラクシ購入したんですよね(遅)。
ボロックはなかなかに面白いパーツが揃ってて使いやすいと感じたのですが、
ラクシってどうも使い勝手が…ねえ(笑)。そういった意味ではメトロも兆戦し甲斐ありですな。
ヌーバはまあ基本的にトーアとは何も変わらないのでいいとして。

ふたつめは『我が家にもジン並みの可動範囲のトーアを!』ってことです。
ジン(とビオラ)はJAP式トーアの根幹を成すオリジンでありながら、
未だ色褪せない秀逸なアイデアと構造、そしてデザインも含めてかなりのアドバンテージをもっていますよね。
ひとつの到達点といいますか。
それに兆戦してみたいというか…概ね玉砕ですがw…やはり越えられない、でも越えなきゃならん壁でしょう。JAPトーアは。矛盾してますか(笑)。
JAPトーアって、ニクル界におけるボーダーライン、そういったシステムとして機能してると思うんですわ。
というのはまあ思いつきなんですが(←えー!)、
兎も角、デザインと可動の両立ってのはニクルに限らず、難しいことだと思うんですよねー。
なのであえて、あえてジンに挑戦してみました。
どう?引き分け…いや、善戦くらいはしてるかな?w>JAPANさん
また、それ(可動性)と関連して腕と脚についてのアイデアもつぎ込んでみました。
まずは腕の方から簡単に。
兎に角ゴツい腕、ってのを作ってみたくてですね。
そこはほら、細かいパーツから何かを作ることが苦手な私ですから、
思いっきり純正ボディを流用しようと考えてしまうワケですよ(笑)。
で、これまた単純な思考で定番にかっこいいオヌーの爪を装着(オヌーの爪をつければ取り敢えずかっこよくなるというShi-ShiとJAPの法則)。
こだわりっていうか、僕にはそう見えたんだ!的なお話なんですけれど、

ほら、この部分が親指っぽく見えません?見えませんか(消沈)。

結構可動範囲も広いんですよー。
肩とヒジのBJに加え、肩のトリック(そんな大層なもんじゃないですが)で動きまくりです。
こんな感じ。

(見易いようにフィカルにラカンの腕をつけてます)
これが通常状態。
この状態からヒジ関節の可動のみで

ここまで動きます。
ヒジ関節を可動することで手のひらを上に向けることもできます。

ですが、この状態だとこれ以上 下腕を上に曲げることはできません。
そこで

肩を横に開くのです。
こうすると、

ヒジをより深く曲げ、手の甲を正面に向けることができるわけです。

違いが判りますでしょうか?
こんな感じに動いてくれますー。


…どうです、このジマンゲな講釈は(笑)。
ただ、もげやすいのが弱点です(駄目じゃん)。
もうぽろぽろ取れてストレス溜まりまくります。

でで、今度は脚ー。
以前から

この部分が『なーんとなく、ふくらはぎに見えるなあ』と思ってたんですよね。
お、純正足首をつま先にすれば…

おお、念願の足首可動ができるではないか!と。
ちょっとしたアクションポーズを取らせたときの、ちょっとした演技に効果ありですぜ、旦那。
おかげでアクションポーズが良く決まる…とかいいつつこれといったアクションポーズ取ってる写真がないのがアレですが(笑)。
いんやあ、何かアクションポーズって、写真にするの難しいんですよねー。
この脚まわりに関してはShi-Shiの初トーアである

こいつから発展した案だったりします。

腕と脚、両方ともかなり昔から思いついていたのですが、
見ての通り、如何せんBJパーツ(黒い球体)大量に消費してしまうんですよ、これ。
それに純正トーア、今回はオヌーもしくはオヌーヌーバの胴体が五つも必要だったので、
部品を揃えるのに一年くらいかかっちゃいました(かかり過ぎ)。
その間にボロックやらヌーバ、ラクシまで発売されてたワケで…創作スピードを…くれ…(笑)。
まあそのオカゲで、完成度自体は高まったかな、とか思ってます。

あと、今回はアクセントカラーとして黒ボロックの目?を各部に配してみました。
いわゆるチャームポイントですな。
個人的には

この部分結構お気に入りです。
多分食玩スライザーのパーツだと思うんですけど、
何かPSOのハンドガンの、フォトン部みたいでかっこよくありません?ありませんか(消沈2)。
しかし、黒にライトグリーンっていう組み合わせが思いっきりサヴァスと被ってしまいましたなあ。顔も同じだし(苦笑)。

今回、何となく銀カノイを使おうキャンペーンってことだったんですが、
knockさんも言及していらっしゃったように、微妙にヌーバアーマーと色合いが違うんですよね。
これには困らされましたが、濃い目の灰色のパーツと合わせることで、違和感の緩和を図ってみたつもりです。
しかしアレですな、このヌーバアーマー、特に胸アーマーの使い勝手が素晴らしいですな。
ボリュームを補ったりするのに最適です。
大きいパーツでしかニクれない病気の私にとっては、これほどありがたいパーツはありませんですよ。
でも、自己主張が強いので、どんなに工夫しても『ヌーバの胸アーマー』にしか見えないのが悲しいところですな。

そして中途半端感漂う変形。

やはり“僕にはそう見えた”レベルのお話なんですが、ゴリラっぽいものをイメージしてます。
胴体が前後逆になることによって、背中が銀色に…いわゆるシルバーバックになってるんですよ!
と、私の中ではそういうことになっています(笑)。
なんちゃって、これ撮影中に思いついた変形だったりするんですけどね、ここだけの話。

設定面ですが、さて、何かShi-Shi本領発揮といったところですか(笑)。
JAPさんと二人で取り決めた大前提を、ことごとく無視し始めています。いけませんねえ。
なので、こいつは番外編的な、ジャパ・ヌイストーリー本編には登場しないキャラクターとして見てもらえると大変よろすぃ感じです。

名称も段々苦しくなってきてるというか、Shi-Shiの趣味嗜好を知っている人が見たら
『ああ、あいつの好きそうな設定、語感だなあ』と思われること請け合いというか(笑)。
むしろ、ネーミングを見せただけで『Shi-Shiの設定?』と聞かれてしまいそう的な。
リュチュ・サン・クァとか(笑)。 思いつきかつ変な語感、ってあたりが我ながら自分ぽいと思います。
今回もまた色々な神話関係などをパク…参考にして設定をデッチアップです。
正直、今回写真に添える文章全然思いつかなくて、ダイナミックに端折りましたすいません(笑)。
“居るか居ないか、あるいは居たか居なかったか解らないような存在”って設定なので、
あまりハッキリと明言できないことが多かったんですよねー。
本編にも出ませんし。

何となく集合写真。

ええ、僕、組み立てたトーアは基本的に分解しない主義なんですよ。
いや、主義なんて大それたものじゃなくて、ただ何となく、勿体ないような心持ちがして壊せないだけなんですが。
だから慢性的なパーツ不足に陥ってるんだよな、オレ…。

完成した当時はおおー、我ながら凄げなモノができてしまった!
結構大型にも関わらず可動とプロポーションを両立!
自分の才能が恐いわ…フフフ、とか思ってたのですが(ちょっと嘘/笑)、
dieさんとocoさんのHP、HIGHVISIONさんとその素晴らしき大型ビルド作品を知ってしまった今では、何かこいつも霞んで見えます(笑)。
精進ですな、全くもって本当に。

最後になりましたが、新葉さん原案のエヴァラ・マガイの設定、パク…採用させていただきました。
新葉さん、スペシャルにサンクスです!

2004.10.11 加筆修正


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