宇宙世紀0080年代後半、「単機による強襲/撹乱」というコンセプトの元、 アナハイムエレクトロニクス(以下AE)社によって製造された宇宙用MS…それが本機である。 長距離からの狙撃による破壊、撹乱、 機動力を活かした強襲、撹乱を主任務として開発されており、 基本的には大推力を活かした一撃離脱戦用の機体であるのだが、 その完成度は高く、汎用MSとしても高い水準にある為そうした運用も可能と結論付けられている。 その高性能を支えているのが各部に配された大出力バーニアで、 これにより爆発的な加速を可能とし、 (四肢を含む)AMBAC作動肢を併用することで急激な旋回などの機動が可能である。 腰部に配されたスラスターバインダーのコンセプトは 「ガンダム開発計画(0083年、連邦とAE社によって実施された次世代MS開発計画の総称。 0099年になってその存在が初めて明かされた)」における 試作3号機(GP-03S)に類似しており、その点も興味深い。 本機がGPシリーズと同じリバモア工場で建造されたことなども、 それらとの技術的繋がりを推測させる要因になっている。 また、テールスタビレーターやそれによるAMBAC機動など、 非変形MSであるものの、AEにより同時期に建造されたMS群 (Sガンダムなど)とも共通する設計思想が見られる。 当初は「大推力を活かして敵陣中枢まで突入、一点突破を図る」というMA的運用を想定した設計であったが、 地球連邦軍での正式採用を目指した機体であった為、 運用方法が連邦的ではないとされこの案は棄却された。 (連邦軍はMSのみによる編成目指しており、MA的概念は一般的ではなかった) AE社内での認識コードは「AE.1/4013/C2A1」。 フォン・ブラウン支社リバモア工場にて建造されたことに因み、 開発関係者などからは「リバモア(LIVEMORE)」と呼ばれていた。 まず始めにバックパックや一部装甲などを省いた試作機(AE.1/4013/A)が三機製造され、 その内の二機が強襲用装備へと改装された(AE.1/4013/B)。 「AE.1/4013/B」の段階で外見自体は現在の形とさして変わらなくなっている。 また、一機は各種試験の為に残され、そのまま改装されることはなかった。 その後各種運用実験(実戦での評価試験も含まれたとされる)の為に8機が増産され、 実戦仕様の機体は(諸説あるが)合計10機製造されたといわれている。 本機はこれといった固定武装を待たず(インコムを標準装備しているが、本機のそれは武装と呼える代物ではない)、 オプション兵装がなければ兵器として運用できなくなってしまっているが、 本来はリアアーマーにAEブラッシュ社製の専用ビームサーベルが二本マウントされる予定であった。 新型サーベルの開発が難航した為、当面の処置として重量バランス調整用にダミーが取り付けられたが、 サーベルの完成は遅れに遅れ、最後までダミーのままだった。 結局、本機が連邦に正式採用されることはなく、様々な思惑入り乱れる談合、 政治的暗躍の末、アクシズ(ネオジオン)へと全機 譲渡された。 その際に偽装の為か、名称を「デラセルナ(DELASERNA)」に改められている。 一部の機体はグワジン改級戦艦「グワンガン」に配備され、 実戦にも参加したといわれるが真実は定かではない。 |